はてなへの住所登録の背景について

11月1日に開始しました、はてなへの住所登録のお願い、正しい情報登録のお願いについて、昨日は、SSL通信の徹底に一部不備があり、また、新プライバシーポリシーにも不備があるなど、はてな社内での準備に至らない点があり申し訳ございませんでした。

また、このたびは事前にパブリックコメントを求めることなく、ユーザーの皆様の住所確認を行う方針に転換致しましたことに関し、ユーザーの皆様から大変多くの批判を頂きました。規約改正についてはパブリックコメントを募集しておきながら、このような重大な方針変更についてユーザーの皆様に事前にご意見を伺わなかったことを、お詫びいたします。申し訳ございませんでした。

昨日早朝より、個人情報の通信部分についてのSSL暗号化通信の固定化や、規約の補足などを順次進めております。
はてなへの住所登録の義務化撤回について

今回の住所登録については社内でも長く検討を続けてきましたが、最終的に、ユーザーの皆様に住所や氏名などの正確な情報をお聞きして、その上で前に進みたいと考えました。

はてなでは、ユーザーの皆様が情報を自由に発信するツールとしてご利用頂きたいと考え、これまで各種サービスを提供してまいりました。おかげさまで現在では16万人ものユーザーの皆様に当社のサービスをご利用頂いており、感謝の念に耐えません。

しかし、ユーザー数が増えるに従い、利用規約に反して他人の権利を侵害するような内容の日記などを公開する方が散見されるようになったのも事実です。昨月からははてなフォトライフで複数の画像を掲載することができるようになりましたが、早速著作権を侵害されたという問い合わせがテレビ局などから寄せられているのが現状です。

はてなでは、被害者の方々からお問い合わせを受ける度ごとに、被害者と日記作者との間を調整し、場合によっては日記のプライベート化等の措置を講じてまいりました。また、こうした事例が増加する中で、今後も本当にそれだけで済むのかという検討を行ってまいりました。検討を進めるにあたって法律専門家にも相談を行う中で、違法な日記の作者を特定できないようにしておくことが、ユーザーによる違法行為を教唆・幇助したとして、あるいは違法行為を犯した張本人として、法的責任を追及されるおそれがあることが分かりました。

また、現在はてなでは、はてな内の情報削除について「はてな情報削除ガイドライン」を設けています。

皆さんの日記の内容を含め、はてな内の情報について、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害等によって削除を求める場合には、このガイドラインに沿った申立をお願いしています。この際、第三者はてな内の情報削除を求める場合、削除申立者には「どなたからの申立なのか」を把握するため住所や氏名の開示をお願いしています。

しかし、肝心の情報発信者の登録情報が仮名と思われる内容であったりした場合、そのユーザー様が実際にどなたかなのかが分からず、はてなとしては十分に情報発信者の権利を守ることができない場合があります。つまり、ユーザー登録に必要な情報と、削除申立を行うために必要な情報の不均衡がこれまで起きておりました。

こうした不均衡を解消するためには、

  1. 現状のままで、削除申立に必要な項目を少なくする
  2. ユーザー様に住所の登録もお願いする

の2つの選択肢を検討したわけですが、1.を選択した場合には、削除依頼者も情報発信者もどなたかが分からない、といった状況も考えられ、これは情報発信を可能とするサービス提供者として、責任を放棄する選択ですらあると考えました。

そこで、はてなでは、既存のユーザーの皆様についても、個人を特定するのに最低限必要な氏名及び住所を確認させて頂くことといたしました。

今回、皆さんに正確な情報をご登録頂く事で、より安心してはてなをお使い頂けるよう、改善を行えると考えております。

皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

(本章の背景の説明について、11月3日21時半に内容の追加を行いました)

「キャンペーン」「プレゼント」

今回の住所登録のお願いについては、お知らせのメール内で「キャンペーン」「プレゼント」といった言葉を使ってご説明を行っておりますが、この点について、本来弊社からお伝えしたい「正確な情報をご登録いただきたい」というメッセージが正確に伝わらず、誤解を招くものであったと反省しております。
先ほど、はてなへの住所登録の義務化撤回についてページにて、若干の文言修正を行いました。
不適切な表現により誤解を招き、申し訳ございませんでした。

ユーザー登録情報の利用目的、プライバシーポリシーについて

今回登録をお願いしております住所等の個人情報の利用目的について、ご質問を頂いておりますのでお答えさせて頂きます。

はてなでは、これまで「氏名」「郵便番号」「生年月日」「性別」の登録をお願いし、また、利用規約にて正しい情報をご登録いただくようお願いをしてまいりました。
こうしたご登録情報について、はてなのサイト内で第三者に提示されたり、他社に譲渡されたりすることは無く、

  • アンケートはてなに回答する際に年齢や性別を自動判定する
  • こちらからメールでご本人宛にご連絡する際に、氏名を宛名に利用する場合がある
  • ユーザーの全体像を把握するための社内での統計作業

といった用途にのみ利用してまいりました。また、商品の発送を行うはてなダイアリーブックやTシャツ、プレゼントについては、その都度住所をお聞きし、発送を行ってまいりました。(はてなダイアリーブックについては、この情報を印刷会社に送信し、発送を委託しております)

今回登録をお願いしております「住所」の用途につきましてもこれまでと大きくは変わらず、現状で計画しておりますのは、

  • アンケートはてなでの地域による回答者に絞り込み機能
  • 商品発送の際の住所確認の簡略化
  • 地域に応じた広告などの情報の発信(これは性別、年齢等に拡張する可能性がございます)

という範囲のものです。

今回掲載しておりますプライバシーポリシー(プライバシーポリシー改定版(PDFファイル))内におきましても、これまで利用規約第4条「プライバシーについて」(はてな利用規約)に定めておりました利用範囲を拡大するものではなく、同等の内容をより明確に示すために、利用規約からの分離や、各条文の補足を行った内容となっております。

また、関係省庁への個人情報開示の要件についても、サイト開設以降に策定されましたプロバイダ責任法に基づく開示請求項目を追加しておりますが、基本的にこれまでと変更はございません。

ただし、「プライバシーポリシーの解釈の幅が広いため、いかようにも解釈できる」といったご指摘を頂いており、この点については、誤解を避けるためより詳しく明記させて頂く必要を感じておりますので、プライバシーポリシーの再改定について検討させていただきます。

これまでの運用の中で行ってまいりました個人情報の利用以外に、大きく用途を拡大するといった計画は現在無く、今回の情報登録のお願いは、上記に述べました「より正確にユーザー様がどなたなのかを把握する必要があると判断した」という意図によるものです。

この判断を行う際、「ファイルローグ」裁判*1の判決なども参考にしております。この判決では、サービス提供者が著作権侵害行為が想像できたにもかかわらず、利用者の確認を怠ったとされております。

残念ながら、はてな内でも著作権侵害情報など他人の権利を侵害する情報が増加しており、企業として、法律に基づき今後もサービスを提供し続けるには、ユーザーの皆さんに住所と正確な情報の登録をお願いするしかないと判断いたしました。

正確な情報をご登録いただき、企業として正しい姿勢を取ることが、これからも長くサービスを提供し続けるために必要であり、住所登録というお手数をおかけしてでも、長期的には「サービスを持続する」という事により、ユーザーの皆様に報いることができると考えております。

このような説明が事後になり大変申し訳ございませんが、ご理解、ご協力をお願いできればと思います。

どうぞよろしくお願いします。

住所登録Q&A

住所登録のお願いについて、多数のお問い合わせを頂き有難うございます。
さきほど、このたびの住所登録の案内ページに「住所登録Q&A」を掲載させていただきました。
http://www.hatena.ne.jp/info/address#qa

お問い合わせの多い代表的な質問について、お答えさせていただいております。
また今後も、随時追加して行きたいと思います。よろしくお願いします。

はてなアンテナのみのユーザー様について

はてなアンテナのみでも住所登録は必要か」というご質問をコメント欄にて頂きました。
はてなアンテナでは、その特性上ユーザー様による著作権侵害行為は起きにくい現状ではありますが、リンクのタイトルを用いたホームページ開設者への名誉毀損行為なども発生しており、また、システム的に利用サービスに応じてご登録に必要な情報を変更することが難しいため、はてなの全てのサービスに共通して、今回のお願いをさせて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。

住所確認はがきについて

住所登録Q&A
http://www.hatena.ne.jp/info/address#qa
に「住所確認はがきで個人情報が漏れることはありませんか?」を追加しました。
住所確認はがきは、外部から「郵便番号、住所、氏名」と、発送元であるはてなの社名、住所のみが確認できる形態とし、はてなのユーザー名などが判別できないものとさせて頂きます。
詳しい形態については検討中ですが、手続き方法がシールなどで覆われたはがきか、封書にてお送りする方法を考えております。